最高裁判所第二小法廷 昭和27年(あ)1543号 判決 1953年10月02日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人荒木新一の上告趣旨第一点について。
原判決は、何等所論援用の大審院判例と相反する判断をしていない。そして、真に罰金以上の刑にあたる罪を犯した者であることを知りながら、官憲の発見、逮捕を免れるように、これをかくまった場合には、その犯罪がすでに捜査官憲に発覚して捜査が始まっているかどうかに関係なく、犯人蔵匿罪が成立するものと解すべきであるから、原判決に所論の違法もない。
同第二点、第三点について。
所論は、いずれも刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
また記録を調べても、本件につき同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって同四〇八条により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)